今月の始めにオファーをいただいたき、ドキュメンタリー映画“The Exhibition”でプロデューサーとして働き始めました。
この作品はこれまで私がプロダクション・デザイナーとして3本の作品で一緒にお仕事をさせていただいたDamon Vignale監督の最新作です。
Damon Vignale監督は、監督/プロデューサー/脚本家としてバンクーバーをベースに活躍していて“The Little Brother of War”や“The Entrance”など受賞歴を持つ才能溢れる人物です。これまでテレビや映画でフィクションの作品を手掛けてきましたが、実は3年前からあるアーティストのプロジェクトをカメラで追い続けています。
アーティストの名前は「Pamela Masik」。
ダウンタウン・イーストサイドで行方不明になった69人の女性の顔を巨大なキャンバスに描き続けていて、この3年がかりのプロジェクトが今年の秋に完成する予定です。
ダウンタウン・イーストサイドというのは、バンクーバーで一番古い歴史を持つエリアなのですが、ドラックの売買が公然と行われ、麻薬中毒者やホームレスの人達で通りはいつも溢れています。
昨年の調査によると、659名のホームレスの人達がこのエリアに住んでいて、その内の276人はシェルターに入っていますが、383名は道端で暮らしていることが明らかになっています。
(バンクーバー出身のフォトジャーナリストが撮ったダウンタウン・イーストサイドの写真です。http://www.wendellphillips.com/vancouver/default.asp)
昨年新しい市長が選出され、ホームレス問題に積極的に取り組み始めましたが、バンクーバーで暮らす多くの人は、ダウンタウン・イーストサイドが抱える問題をどこか遠い国で起こっていることのように感じているのが現状です。ダウンタウン・イーストサイドが抱える問題は非常に根が深く、一朝一夕で解決できるものではありません。
アーティストのパメラは、69名の行方不明になった女性を巨大なキャンバスにリアルに描き出し、人々の目をダウンタウン・イーストサイドに向けさせようとしています。
彼女が描く女性の姿は、非常に痛ましい衝撃的なものです。
このプロジェクトが一般に公開される時には、様々な反応が起こることは間違いありません。
(パメラのプロジェクト“The Forgotten”のサイトです。http://www.theforgotten.ca/)
ドキュメンタリー映画“The Exhibition”は、パメラの3年に及ぶプロジェクトを追いかけつつ、様々な人の立場からダウンタウン・イーストサイドの現実に目を向けるとともに、アジア・北米・南米・ヨーロッパをはじめ、世界中の「議論を巻き起こしたアーティスト達」を取材し、一つのアートが人々の価値観を根底から揺るがし、世論を動かし、世界を変えて来た歴史を探求して行くというものです。
人々を感動させて考えさせて影響を与える映画を作りたいと常々考えてきた私にとって、この非常に意義深い作品にプロデューサーとして関われる事はもちろんのこと、才能溢れるDamon Vignale監督と共同でプロデュースできる事はこの上ない喜びです。
これまで関わってきた作品の中でも最も大掛かりで長期に渡るプロジェクトになるので、しっかりと気を引き締めて一歩ずつ前進していきたいと思います。